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ドン底から這い上がった経験者が語る、若手への提言

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私は、能力も無くセンスも無い超平凡な理学療法士です。

そして、あまり具体的には語ってきませんでしたが、
若い頃には、今思い出しても辛くなるような泥水を啜るような経験を多くしてきました。

(これについては改めて記事にします)

そんな私でも、現在は100名の部署長+100名超の施設責任者を紛いなりにもやらせていただいております。

最近は、教育やマネジメントを中心に研修会講師を依頼されることも珍しくありません。

何に対しても自信のなかった当時(経験3年目頃)の自分からすると、良い意味で全くの想定外です。

 

そんな私から若手の皆様への提言は、『自己投資のススメ』です。

 

若手への提言『自己投資のススメ』

 

消費と投資の違い

自己投資は、読んで字の如く『投資』です。自己消費とは言いませんよね。

まずは、消費と投資の違いをまず押さえておきましょう。

消費とは『今必要なことに対して現有資産を使うことで、将来的にも資産が増える可能性の無い活動

投資とは『将来必要なことに対して現有資産を使う活動で、将来的な資産を増やす可能性のある活動

この定義は正しいかどうかは分かりませんが、私なりの解釈です。

会計の世界では「資本=資産ー負債」(これを資本等式といいます)であり資産と資本とは異なりますが、ここでは厳密な区別を意識していません。

 

資産とは、分かりやすいものでいえば「お金」「時間」などがありますが、「人的ネットワーク(関係資産)」「信頼」「保有スキル」など無形の資産もあります。

そして、これらの見えない資産こそ、これからも人生100年時代には非常に重要です。

 

あの有名な書籍『LIFE SHIFT』の中で、著者であるリンダ・グラッドソンは以下のように述べています。

20〜30代の人
・すぐに給料のいい職に就こうとばかり考えず、選択肢を広く取ることを優先する
・自分とは大きく異なるロールモデルと接するなど、人的ネットワークを広げることを優先する

40〜50代の人
・新しいスキルの習得に力を注ぐ
・更に人的ネットワークを広げて、新しい生き方の選択肢を知る
・経済的な関係も含め、家族同士の関係や役割を見直す

60代以上の人
・高齢になるまで働き、収入を得続ける
・若者たちのロールモデルとなる

 

豊かな人生とするためにはお金や時間だけでなく、人的ネットワークや関係資産、役割などを豊かにすることが必要だと説いているわけです。

作業療法士
我々の出番といったところですね!

 

ちなみに、私は若い頃の泥水を啜るような経験は大きな資産となっています。

挫折経験が原体験となり、行動するための大きな熱源(=資産)となるんです!

おじさん
若いときの苦労は勝手でもしろ!

という言葉は、ある意味真理だと私は思っています。

 

成果=能力✕熱量 と定義して考えてみると、

『熱量』の大きさは理屈ではなく、感情を揺さぶられるような原体験に基づく勝手な拘りが熱源だったりします。

狂ったような熱量を持っている人は、こうした原体験が少なからずある人がほとんどです。

私も当時はそんな余裕はありませんでしたが、壮絶な原体験を経験できたことは今の自分の支えになっているのは間違いないです。

これについては、ニーズがあればリアルな原体験を生々しく記事にしてみようと思います。ただしネット上で公に話せないことも多いので、クローズドなかたちでしか書けないと思います・・・

 

ツイッターで呟いた上記の内容、酔っ払った状態で深夜3時に呟いたのでチョット分かりにくかったと思いますが、補足すると以下のような感じでしょうか。

短絡的に「お金」や「時間」を消費するのではなく、自身のキャリアを見つめ将来得られる資産を増やす活動をしよう!

本やセミナー・学会参加費や授業料などの値段が高い・安いという思考ではなく、投資に見合うだけの価値があるかどうかを見極めよう!

そして、価値があると判断したら、読書・セミナー・学会・大学院などに若いうちから積極的に投資をしよう!

若い人のほうが投資後の回収期間が長いため、結果として得られるリターンの総量が大きい。すなわち、若ければ若いほうが投資効果は高くなる!

価値があると判断して投資したのであれば、必ずリターンにつなげる覚悟を持とう!投資を無駄にするのも活かすのも自分。自分を裏切るな!

 

 

キャリア戦略=自分自身を知る ✕ 現在・未来の外部環境を知る

消費ではなく投資をしよう!ということを書きましたが、投資は将来のリターンを狙って行うものですから不確実性が伴います。

将来のことは誰にも予測できませんから、リスクが伴うということです。

しかし、リスクのないリターンはありません。「投資をしない」という意思決定もリスクが伴うことは意識しておきたいところです。

そうであれば、リスクを最小限に抑え、リターンを最大化する方法(=キャリア戦略)を考えるのが賢いやり方です。

 

では、キャリア戦略とは何か?

私の考えるキャリア戦略は、シンプルに言うと以下の式で表現できます。

キャリア戦略=自分自身を知る ✕ 現在・未来の外部環境を知る

 

 

 

 

自分自身を知る

 

キャリアを考える上で、もう一つ押さえておきたい式があります。

キャリアにおける課題 = 将来有りたい姿(理想) ー 現状の自分

 

私がこちらの記事をはじめ色々なところで用いている「課題解決のフレームワーク」というものがありますが、このフレームワークは、キャリアを考える際にも有用です。

 

 

 

理想の自分を描く

 

まずは、以下のような問いを自分自身に問いかけて深く考えてみましょう。

Q:3年後・5年後・10年後、どんな自分で在りたいのか?

※この問いが難しければ、『こんな状態には絶対になりたくない』を言葉にすることで、逆説的に在りたい姿が明確になってきます

Q:何をしている自分にワクワクするか?幸せを感じるか?

Q:尊敬している人は誰か?なぜ尊敬しているのか?

 

自己分析をガッツリやろうと思うとこの程度の質問では全く足りませんし、そもそも一番分からないのは自分のことだったりします。

自分自身を客観視して分析することは、非常に難易度が高いので心配は要りません。

そもそもキャリアとは、まだ見ぬ自分自身に出会うための自分探しの旅だと私は思っています。

若いうちは特にその傾向が強いですが、原体験(自身の価値観を決定するような体験)などを経て徐々に自分自身のことがおぼろげながら分かってくる、という程度だと思います。

ただ、だからといって思考停止してはいけません。

答えのない課題に向き合い、考え続けることから逃げないことがキャリア戦略を考えるうえでは非常に重要です。

 

現状の自分を知る

 

次に、おぼろげながらに描いた理想の自分との比較から、『現状の自分』を言葉にしてみましょう。

とにかく言葉にすること、文字に起こすことが大切です。

ここまでできれば、上記の『課題解決のフレームワーク』に当てはめて『理想と現状の差分=キャリアにおける課題』が浮き彫りになってくることと思います。

 

行動計画立案

 

キャリアにおける課題が明確になったら、最後は行動計画の立案実行(課題解決のフレームワーク参照)です。

自身のキャリア課題の解決につながるような、具体的な行動計画を立案しましょう。

ここで、自己投資の具体的な手段を決定します。

まずは手っ取り早く読書でも良いですし、セミナーや学会参加などもあるでしょう。

・尊敬する先輩の話を聞きに行く

・一日一回、必ずその日の行動を振り返り言語化する

・描いた理想の自分を寝る前に毎日頭に浮かべイメージする

といった、ほんの少し意識すればできる行動も立派な自己投資になります。

 

投資の基本は長期投資分散投資です。

毎日コツコツ少しずつ、多くの領域に対する自己投資を継続できれば、かなりの確率で大きなリターンが得られることと思います。

 

キャリアのブルーオーシャン戦略

 

キャリア戦略を考える上で、最も大切なのは『自分自身がどう在りたいか』だと思います。

自分自身がやりたいことをやる、在りたい姿を目指すことが行動の熱源になるわけですから、再優先事項です。

 

しかし、実はそれだけでは少しリスクが潜んでいます。

変化のスピードが早く、しかも人生100年と長期に渡るキャリア戦略を考える上では、外部環境の変化を考えることは必須です。

いくら自分がやりたいことであっても、社会的に必要とされていないことは価値が低くなってしまうリスクがあるからです。

キャリアのブルーオーシャン戦略とは 『現在・未来において社会が必要としているにもかかわらず実践している人は少数』 という領域を見極め、その方向にキャリアを進めるような戦略のことです。

自分たちより少し上の世代、先人と同じことをやっても二番煎じとなります。

二番煎じは、極めて突出しないと価値が高いと認められません。これをキャリアのレッドオーシャン戦略といいます。

 

10数年前、私は『理学療法士養成校の教員にならないか?』とお誘いを受けた経験があります。

その時はまだ若く自信もなかったのでお断りをしたのですが、その頃から教員というキャリアはずっと意識していました。

40代・50代になったら教員のキャリアも選択肢としてはアリだな、と考えていました。

私は理学療法系大学院(保健学修士)とMBA(経営学修士)の2つの修士課程を修了していますが、理学療法系大学院に進学したのは教員のキャリアを想定して、というのも理由の一つでした。

しかし、入学してみて自分にはその適性が乏しいと感じたことと、我々の世代以降のキャリアとしてはレッドオーシャンだと感じたこと、この2つの理由から教員というキャリアではなく臨床現場でマネジャーのキャリアへと方向転換をしました。

 

MBAに進学することを意思決定したのは38歳の時でしたが、なぜ理学療法士がMBAに進学しようと考えたのか?

それは、

『リハビリテーション領域には経営やマネジメントを体系的に学んで実践しているマネジャーが今後必要とされるにもかかわらず、実践している人は非常に少ない』

と思ったからでした。間違いなくブルーオーシャンだと思ったわけです。

大した実力のない私のような凡人は、ブルーオーシャン戦略でなければ勝ち目がありません。

そして、それだけでなくマネジャーのキャリアは自分自身がやりたいこと・在りたい姿でもあった(嫌いではなかった)、すなわち『やりたいこと』と『求められていること』とが一致した領域であると判断したから、MBAに進学するという意思決定をしたわけです。

 

 

 

いくつか反響をいただきました

 

 

まとめ

自己投資は、ローリスク・ハイリターンで最も効率の良い投資だと言われています。

変化のスピードが非常に早く、人生100年時代のキャリア戦略では、何もせずじっとしていることが最大のリスクです。

若いうちから、キャリアを見据え長期投資・分散投資を意識した『自己投資』を改めて考えてみてはいかがでしょうか。

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理学療法士、MBA&保健学修士、医療介護マネジャー

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