Peingというネット上の質問箱サービスをご存知でしょうか。
最近、私の質問箱に頂いた質問への回答をツイッターでシェアして、フォロワーの方々の反応を見たりしながら楽しんでいます。
今回は、思いのほかバズった質問への回答があったので、ブログにも書き残しておこうと思います。
結構厳しいことを書いたつもりでしたので、
『またあいつマウント取ってるよ!』
みたいにネガティブな炎上を覚悟していたのですが、
すごい。質問の回答を読んで、感動してしまった...
factに対する解釈は、人により異なる。つい自己中心的な考えで、先走りそうになることは自分自身何度も経験している。
質問主ではないですが、自分の思考を見つめ直す機会になりました。ありがとうございます。 https://t.co/PtcYyw858F— しば@資産運用勉強中 (@yamalphope1) 2019年1月12日
優しさを超えて愛を感じます。
①この方にとって成長のきっかけ
②返答を見る人にとっての成長
③この業界の成長今回のイケハヤのは、近年稀に見る酷さでしたね…笑
愛あるフィードバックは、良い炎上に繋がると思います♩
— 橋本大吾_りぷらす代表理事【暮らしの生態系を】 (@daigo7) 2019年1月12日
factと解釈を分けての思考、客観と主観、ビッグデータ、勉強になりますー。
私はヤイヤイ物申しちゃうことも多いので、改めてこの視点で物事考えながら発言していこう https://t.co/I6hOP5Giwz— U子(yuuuco13) (@sasakamanian) 2019年1月12日
などなど、意外にも好意的なコメントを多くいただきました。
思考の整理方法、クリティカルシンキングの実践例のひとつとして参考になるかも?!と思ったので、ブログにも残しておこうと思います。
参考記事:クリティカルシンキング研修の効果
質問者さんからの質問は以下です
この質問に対する私の回答は以下です。
心労お察し致します。
まず、前提の確認が必要かなと思います。
『サービス残業が当たり前』
なのと
『(サービス残業ではないが)残業当たり前』
なのかで随分意味が異なります。
時間外手当の支払いがなされている前提で、定時に終わらない事そのものは、36協定違反等でない限り労基上問題にはなりません。
(個人が満足するかどうかは別物です。嫌なら辞める自由が確保されています。)
また、『残業当たり前な職場』の意味は、例えば一日22〜24単位取得が求められていて誰がやっても大幅な超過勤務となるようなケースと、1日18単位程度で先輩達は普通に定時に終わっているのに一部の職員のみが残業当たり前になっているようなケースとでは随分異なります。
さらには、『疲弊してしまう』というのも解釈が難しいと感じます。
私の経験をお伝えしますと、1日21単位やっていた我々の時代から、毎年増員し1日18単位まで一人当たりの仕事量を軽減しましたが、それでも過去の21単位の経験をしたことがない職員は『業務量が多過ぎる』と訴えていました。
このことからの学びは、本人の主観である『忙しい』『疲弊してしまう』という訴えに必要以上に振り回されることは得策ではないということでした。
結論としては、『前提情報不足なので何とも言えない』です。
自らの主観は『本当にそうか⁈』と自問した上で、前提情報をセットでまた質問して下さいませ。
その数日後、以下のように追加質問が来ました。
この質問に対する私の回答は以下です。
すいません、最初にお断りしておきますが貴方様のために今回はかなり厳しい回答となっています。
気を悪くされたらすいません。
『狭い範囲で物事を捉え、勝手な正義感が走っていくこと』
は大変危険な事だと思います。
失礼ですがそのように感じました。
そのような状況で院長にまで話をしに行くことは、やめておいた方が良いです。
厳しいことを言うようですが、おそらく相手にされませんしリスクが伴います。
貴方が貴方の判断で代替案を上司に訴えることそのものは、なんら問題ありません。
ただし、これらの限られた情報から考えると、もっと多角的に捉えないと相手にされないだろうなと思います。
例えば、
『主観↔︎客観』
『事実↔︎解釈』
『売上↔︎職員満足度』
『抽象↔︎具体』
『高プライオリティ↔︎低プライオリティ』
などの軸で、思考をいったり来たりして考えてみて下さい。
院長や上司と貴方様とでは、おそらく話が噛み合いません。
その理由は、思考している範囲の広さが異なり、貴方の考えきれていない範囲のことを上司や院長は考えて判断していると思うからです(あくまでも一般論です)。
では、どうしたら良いか?(参考程度に読んでください)
物事を批判的に吟味する能力、クリティカルシンキングのスキルを磨くと、これらの意味が分かっていただけるかもしれません。
あるいは、研究発表や論文をみて、一連の科学的手法を用いてどうやって自分の主張を支えるデータ(fact)を活用して説得力や客観性を増す努力をされているのか?という観点で論文を読んでみると、少し気づきがあるかもしれません。
例えば、
・何と比較しての意見(考察・解釈)なのか?
・その主張に論理の飛躍が無いか?
・主張の限界は何か?
等でしょうか。
時間外手当が支払われているのであれば、1時間経っても皆が仕事をしていることは労基法上は何の問題もありません(←fact)。
また、1日24単位かつ週108単位以内は厚労省が公に認めている範囲です(←fact)。
何が普通で何が良い職場か?(←解釈)には言及しません。
それから、私が最初に勤務した職場は新人の頃から一人1日あたり30〜40名毎日みておりました(←fact)。
だからといって時代も違いますし条件もそれぞれなので、一人1日10〜15名が『大して忙しくないのでは?(←解釈)』とは申しません。
また、現在でも特に急性期病院では1日10〜15名という数は、数字だけを考えると私の知りうる情報からは至って標準的に近いようにも思います(←解釈)。
解釈が人により分かれる言葉をビッグワードと言いますが、「普通」というビッグワードの判断軸は危険だと思います。
働く場所を選ぶ自由は貴方様に保障されています。
また、経営者も
を意思決定の連続でかたち創る自由が(制度やルールの範囲で)保障されています。
あとは、個々の意思決定なのです。
建設的な代替案は良いと思いますよ。
自分の人生、自分で意思決定してつくっていきたいですよね😊
この回答に対して、多くの反応をいただきました。
分析力が凄い
そして
俯瞰も凄い
目指したい姿です! https://t.co/RsnI0UOmi1— 竹中裕人(Hiroto Takenaka) (@1984takechan) 2019年1月12日
質問箱のこの少ない情報量に対して、溢れんばかりの指摘、アドバイス。第3者だけど勉強になります。 https://t.co/ZvGV7rGuBt
— たかゆき(千葉の理学療法士3年目) (@takayuki__0916) 2019年1月12日
「良い職場・悪い職場等は存在せず、あるのは『貴方様の価値観や判断軸に合う職場か?合わない職場か?』だけ」
この文章にうなずきまくりました👏
さすが松山先生です👨🏫 https://t.co/tXuMniXHKK— かじわら(理学療法士) (@kajikaji_pt) 2019年1月12日
私の職場も毎日数多くの患者さんをみさせてもらっています。
これをいい経験にできるか否かは本人次第ではないかと思います。
限られた時間の中で何を大事に生きるのか自分の軸を考える機会なのではと思います。 https://t.co/MDPwLhLjca— とすけ@睡眠を変える (@toonog) 2019年1月12日
ビッグワード、勉強になります。
質問者の方がどうかはわかりまさんが、職場に理念がないことで、「現状」にたいする不安が不満に繋がっているケースをよく見かけます。
同じ現象でも立場や環境によって捉え方は変わりますもんね。臨床と同じですね!
ありがとうございます!— だいじろう@地域に寄与するプロおうえん家 (@ooen_daijiro) 2019年1月12日
他の方のツイートから。
「狭い範囲で物事を捉え、勝手な正義感が走っていくことは大変危険な事だと思います」
言いえて妙。
— 達川仁路 (@plastics2001) 2019年1月13日
結構この辺りを感情的に解釈してしまうこと多いなと自戒💦
何を優先にしているのか?
何を基準にしているのか?
信憑性はあるのか?
正当なのか?かなり良いマネジメントの事例検討!
クリティカルシンキング学ぼうかなぁ
課題だけが山積みになっていくー! https://t.co/XuNKt4zUXZ
— 伊東靖浩@シニアドライブマネジメント (@YMNYAPPY) 2019年1月12日
物事を俯瞰的にとら得る必要があって。
21単位取っている 普通?→経営者やスタッフにより物差しが違う。
院長に進言 → 数字ではじき出さないと、普通に跳ね返されるし、トップダウン型の組織の場合、白羽の矢を立てられるのは必須。立場、環境、職場の状態(なぜ21単位取るのか?)も考えないと。 https://t.co/VxeLyf5L1A
— 裏ふるやなおひろ@地域作り (@PT_yanyan) 2019年1月12日
はい!
24単位取るものですが。
5月は入院と外来あわせて23人予約にいたこともありました。で、勉強ですが。マストではないので、個人で勉強しています。
忙しいと話しますが、
それを理由に疎かにしたくないので、
学会のセミナー手伝いや、学会運営にも携わりました。先月も18人いましたよ https://t.co/bT7HrP40bm— YUKiii** (@YUKiiiCafe) 2019年1月12日
「自分の価値判断・判断軸に合う職場か?合わない職場か?」自分の意思で決める。
すごく納得。幸福の要因として、「社会課題に取り組むこと」があげられているので、うまく会社(環境)を使って、社会課題に取り組みながら、自らを幸せな方向に導ければいいのかな?と思う。 https://t.co/riq1pILNiA
— hiraishinobuyuki (@1987_nobu) 2019年1月12日
職場環境を整える必要性は分かりますが、患者を置いてけぼりにした議論になってるようにも感じます。患者満足のための従業員満足では??土壇場の意思決定で売上か成長かって視点しか出てこないのが療法士の弱いとこだと思う。 https://t.co/bQmpAOoadY
— おとたま (@sin1555) 2019年1月12日
笑笑
別にいいというわけじゃないけど、24単位超え、108単位超えなんて当たり前、新人のところで空いてる単位どんどん算定するなんてよくある話で。
定時から1時間は普通、、、。笑自分でいろいろとまだできると思うけど。 https://t.co/ZqFJGCTtqk
— masa@2019年はインソール頑張る (@mcZ1242pt) 2019年1月12日
セラピストの単位の話ですがね、
急性期病院で15人のみるのとか、ほんと大丈夫だし出来るんです。23人みたりも出来るんです。
でも、23人の全員が橈骨の骨折の場合
23人が脳卒中の場合、
23人が急性硬膜下血腫、橈骨骨折、鎖骨骨折、両下腿骨折、だとしたら中身も大切
— YUKiii** (@YUKiiiCafe) 2019年1月12日
質問者さんからもその直後にDMを頂きました。
質問者様から、実名でDM頂きました。
とても謙虚で柔軟な考え方だということが分かり、建設的な方向に解釈してくださっていました。
老婆心ながら、良かった…🤣
— 松山太士@理学療法士 MHSc MBA マネジメント (@taishimatsuyama) 2019年1月12日
詳細は明かせませんが、質問者さんは非常に誠実で職場を良くしたいという熱意あふれる若手療法士の方でした。
他者からの意見を受け入れる謙虚さや柔軟性を備えた方だとお見受けしました。
そして、自身の意見をしっかりと持ち主張できる強さを併せ持つ、有望な若手だなと私は感じました。
上司のあり方について
優秀な方であればあるほど、若い頃は尖っている。
そんな部下を、上司が扱いきれるかどうか?が課題となります。
そんな話題も上がりました。
貴殿の意見もわかりますが、風を吹かせるのは若い力なので、言う分には問題ないと解釈します。立場で考えている領域が違う事を理解した上で上司が貴殿のような対応が出来るか否かが問われると思います。かつて、私は入職3日で院長に物申し、結果3年後に職場環境は崩壊。退職時に院長自ら私に意見を... https://t.co/luQXHlClTY
— けんちゃん/PT,鍼灸,経営者 (@kentarotakaki) 2019年1月12日
ありがとうございます😊
正に、仰る通りです。
今回は質問者さんがこのまま院長に直訴したら直属の上司との関係性の崩壊リスクがある一方、意見を通すには主張を支える根拠・論拠が不十分なので犬死にしそうに感じたため、質問者さんへの回答のみに焦点を当てました。— 松山太士@理学療法士 MHSc MBA マネジメント (@taishimatsuyama) 2019年1月12日
『尖った意見を言える若者や部下を、上司が扱いきれるか問題』
は、実はリハ業界に根深く存在する超重要課題だと思います。マネジャーこそ部下よりも思考のスキルが問われると思います。
(このケースについて、ではなく一般論です) https://t.co/rZ3FpfX4V5
— 松山太士@理学療法士 MHSc MBA マネジメント (@taishimatsuyama) 2019年1月12日
実はこの日は・・・
実は、この日は体調不良で体が動かず、それでいて寝過ぎで眠くはないという状態の時にこれら一連のツイートのやりとりがありました。
普段はなかなかゆっくりと丁寧な回答やコメントができませんが、ちょうどこの日はベッドの中でツイッターくらいしかやることがなかったことが功を奏して有意義な議論ができました。
SNSで全国の皆さんとこうして議論ができるなんて、良い時代ですね。
私自身、大変勉強になりました。
mba-management
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