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【講演】医療介護の生産性向上は至上命題

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台風20号が近くに来ている最中、
全国病院経営管理学会のリハビリテーション専門委員会報告会のため東京へ行ってきました。

 

 

私は委員会副幹事長を仰せつかっていますが、いつも優秀な幹事長やその他の委員の皆様におんぶに抱っこ状態。

もう少し貢献せねば・・・と常々思っておりましたが、本日は1時間の講演機会を頂いているので挽回のチャンス!と思い熱弁⁉︎?を振るってきました。

今回は、その講演内容の一部を記事にしたいと思います。

 
※2019.12.29追記
 本記事の解説動画をyoutubeにアップしました。

会場に到着すると、想定以上に多くの方が…

全国からリハビリテーション領域の管理者が参加して下さっていました。

そこには、元同級生や元上司の姿も。


 

私の講演テーマは

『ADL維持向上等体制加算と地域包括ケア病棟運営のコツ』

 

ADL維持向上等体制加算というのは、急性期病棟に療法士を専従で配置すると加算が取れるというコレです。

詳しくはコチラ

 

平成26年に新設された際は25点でしたが、2年後の改定で80点にまでupしました。

 

でも、地域包括ケア病棟との共通点って何だと思いますか?

 

 

それは、

『成果を出すための手段が規定されていない』点です!

 

これって、結構重要なんです。

理学療法士・作業療法士が真の意味で厚労省からプロフェッショナルとして信頼されているのであれば、

『手段の選択はプロに任せておいたほうが、とやかく言うよりもやりやすいだろうし、成果を出してくれるよね!細かいことは言わないからあとは宜しく!』

となるはずです。

 

でも、現実の疾患別リハビリテーションの算定要件は…

●個別(マンツーマン)でやりなさい

●20分以上やりなさい

●1日24単位、1週間で108単位以上はやってはいけません

 

上司が部下を信頼していたら仕事の細かなやり方にまで口を挟まないはずですが、

まあまあ理学療法士は仕事のやり方について厚労省から口を挟まれています。

『自分のやり方で仕事がしたい』のは誰でも共通の想いなはず。。。

 

でも、いつの間にか個別20分1単位が当たり前の前提になっていた人もいるのではないでしょうか。

本来、『仕事の成果』と『費やした時間』は分けて考える必要があります。

 

その点、「ADL維持向上等体制加算」と「地域包括ケア病棟の2単位以上は包括」における理学療法士の働き方は、今までのそういった縛りが一部外れたという点で重要なんです。

 

 

しかし・・・

当事者の理学療法士やそのマネジャーからは

 

ADL維持向上等体制加算はこんな低い点数だったら疾患別リハ料の方がいいに決まっている

最低限の人員で2単位を効率良く算定するためにはどうしたら良いか?

 

といった論点で考えている人が(私の知る限り)非常に多く存在しました。

これらの意見をすべて否定する訳ではありませんが、私には『個別20分1単位』の呪縛に囚われている人が多いようにも感じました。

 

ちょっと見方を変えてみると、新たな働き方の可能性が見えてくるのではないでしょうか?

 

というのが私の提言です。

 

 

日本理学療法士の半田会長は、そんな危機意識を持ち地域包括ケア病棟の理学療法士らに警鐘を鳴らすメッセージを発信しています。

 この病棟の役割は急性期からの転入、在宅からの新入、在宅医療への転換等、地域に根差したものです。それゆえに、理学療法士に求められる能力は多様で、社会保障制度改革国民会議の報告書にあるように、「治す理学療法」から「支える理学療法」までが求められます。
この病棟の理学療法士には解決しなければならない課題があります。長い間、理学療法士はリハビリテーション料の中で、出来高払いで治療を行ってきました。1日標準18単位、最大24単位、週108単位、このことを常に意識してきました。それが、初めての「まるめ」となり、大きな戸惑いが生じています。決まっていることは、リハビリテーションの必要な患者には12単位以上を提供することのみです。大切なことは「2単位以上」必要な患者をどのように選択するかです。まるめの中で全ての患者が2単位という、ミニマム理学療法に陥らないようにしていかねばなりません。
理学療法士は、目先の利益のみに関心を寄せるのではなく、地域包括ケア病棟でしっかりと役割を果たすための努力が強く求められています。

公益社団法人 日本理学療法士協会
会長 半田 一登

 

また、ADL維持向上等体制加算についても、半田会長は再三

『皆でこれを育てていきましょう!』

と取得を呼びかける発言をされています。

 

 

生産性とは

生産性とは、投入した費用(時間や人数、医療費など)と仕事の成果とのバランスで決まります。

 

生産性=成果/費用

 

生産性を向上させるという意味は、

『最小の費用で最大の成果を出すこと』と同義です。

 

費用とは、「投入人数」「投入時間」等が該当します。

でも、疾患別リハビリテーション料はここに『個別20分で1単位』という縛りがあります。

この縛りを外してくれれば、状況に応じて

 

『個別or集団どちらが最適か?』

『成果をだすために何分投入するか?』

 

等の判断をプロとして自由に意思決定できるようになります。

本当のプロフェッショナルであれば、ここは腕の見せどころなんです。

 

ADL維持向上等体制加算と地域包括ケア病棟の2単位以上の部分は、診療報酬上このことが許されたという意味で、非常に画期的だと私は捉えています。

 

 

 

 

マネジメント=他者を介して成果を出す

 

ADL維持向上等体制加算の病棟専従理学療法士・作業療法士の働き方も、地域包括ケア病棟の病棟専従理学療法士・作業療法士の働き方も、共通して求められているのはマネジメント能力です。

 

他者を介して成果を出すこと、あるいは「個別or集団」「投入時間」などの手段を適切に使い分けることで、最小の費用で最大の成果を出すことを追求することがマネジャーとしての専従の役割です。

 

従来は、担当患者に直接介入して成果を出す手段しか持っていませんでした。

そのため、成果を高めるためには

 

step
1
知識や技術を向上させる
 より長い時間をかけて介入する

という引き出ししか持ち合わせていませんでした。

 

 

しかし、ADL維持向上等体制加算と地域包括ケア病棟の制度は

 

step
2
「個別or集団」「20分以上or20分以下」「直接or間接」といった投入資源(費用)を柔軟に変える

 

という手段を得たことでレバレッジを効かせることが可能となったんです!

 

 

イメージとしてはこんな感じ…

 

単位等に縛られない非定型業務に潜在的可能性があるということです。

 

 

 

 

課題は、複雑さに対応できるか否か

 

機能の向上、動作の改善、生活の再構築支援…

専従療法士には幅広い領域への対応が求められます。

さらには、他者に動いてもらい成果を出すには高度な人間力・コミュニケーション能力が求められます。

 

 

これらの複雑さに対応できるか否かが、社会から・厚労省から問われているというのが現在の状況です。

おそらく、理学療法士・作業療法士であれば誰でもできるというのは幻想でしょう。正直、level1(アシスタントレベル)※後述の理学療法士・作業療法士も増えているように思います。

しかし、できる人にとっては差別化できるチャンスです。

 

 

マネジメントといっても、個別で理学療法プログラムを実施するにしても、基本的な臨床推論は大きく変わりません。

ただ、アウトプットのかたちが「直接or間接」など多様になるだけです。

 

 

それをモデルにしてみたのがこちら。

このモデルは私が作成したものですが、日本理学療法士協会経由で各県士会地域包括ケア病棟管理者研修用資料として配布されています。

pdfファイル等が必要な方は、コメント欄よりお問い合わせ下さい。

※2019.12.29 本記事の解説動画をyoutubeにアップ後、pdfファイルの希望が複数ありましたので期間限定でこちらにアップしました。

著作権は放棄しておりませんが、Twitterやコメント等で用途を教えて頂いたのちご活用ください。

「直接・個別に縛られない療法士モデル」pdfはコチラ


 

 

level1:自分でプログラム等の立案はできないが、言われたことは申し送り通りに一応実施することができる(アシスタントレベル)
level2:担当患者さんの検査測定等の情報収集と、それを解釈するための専門知識を一定以上有しており、直接介入としてのプログラム立案と実行ができる(一般レベル)
level3:直接介入に加え、患者さん本人または御家族への指導やアドバイス等を通して間接的に成果を出すことができる(サブマネジャー)
level4:直接介入に加え、後輩や多職種への指導やアドバイス、または地域との連携等を通して間接的に成果を出すことができる(マネジャー)

 

 

このようなレベルの異なるチームメンバーがいる前提で、チームで成果を出す組織構造をつくることが重要です。

 

 

理学療法士・作業療法士の働き方にパラダイムシフトが起きつつあることを認識した上で、ここに示したようなlevel3、level4の人材をどのように育成していくかが課題です。

課題解決力やマネジメントの能力開発が急がれます。

 
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自由と権限(裁量権)を与えられた時、プロフェッショナルとして真っ当な判断ができる職種か? 複雑な課題に対峙し解決できる職種か? それができなければ、 『やり方を指示しないと成果が出せない職種』 という烙印を押されることになるかもしれません。

 

 

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