教育・育成 マネジメント

“自己研鑽”のマネジメント

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質問箱に酷似したzabuuというサービスがあったので登録したところ、

以下のような質問をいただきました。

私なりの回答を考えてみたいと思います。

“自己”研鑽なのに、実施条件を他者にゆだねているあたりがまず最初に気になるな〜

と率直に思いました。

それはさておき、
「私ならどうするだろう?どうしてきただろう?」
という視点で考えてみます。

自己主導型学習(self-directed learning)

私は、

成人の学びというのは、自らが自己決定しながら能動的に学ぶことではじめて真の学習となり、学習意欲も高まる(自己主導型学習)

という考え方を大切にしています。

この考え方に照らし合わせると、
『自己研鑽をするかしないかの意思決定に条件を付け、それを満たすことを他者に求める状態』
というのは、成人が真の学習をしている姿とは異なると判断します。

その状況で他者がやれることは、
『自己主導型学習を阻害しないこと』
なので、例えば以下のように答えるかと思います。

私ならこう対応する

松山太士
やるもやらないも自分の自由ではないでしょうか

松山太士
やりたくないのならやらなければ良いと思います。自分で決めてその結果責任も自分で負うことが大切ですよね。

なんだか冷たい人のように聞こえますね。
でも、自己主導型を促す(他者主導型にしない)ことが肝要かと思います。

そのような対応をすると、本当に自己研鑽しない人もいると思いますが、それはその人が選んだ選択ですから私は口を出しません。

人は、自らが主人公の物語を生きている
人は、自分の生きたいように生きている

わけですから、他者がとやかく言うことではないんですよね。
この言葉をどう受け止めて、どのような反応をするのかは相手(他者)の課題です。
このように、自他分離して考えています。

 

相手の課題だからといって何もしないわけではありません

ただ、人事評価報酬(金銭的報酬というより、動機付け要因をくすぐる表彰制度や声掛け等)などの仕組み・仕掛けで自己主導型学習を促すことは、マネジャーとしての大切な仕事だと思っています。

これは、自他分離するといっても他者に委ねる課題ではなく、
マネジャーである私自身がどのように考えて対策を講じるか?という自分の課題です。

 

自己研鑽は、成果を出すためのプロセスでしかありませんので、『成果を出さねば評価に値しない』という考え方も一理あります。これを総括的評価といいます。

しかし、私は
『自己主導型学習を実践している人の方が、していない人よりも良い組織文化の醸成に貢献している
ため一定の評価に値すると考えています(このあたりは賛否両論あるかと思います)。

総括的評価に加えて形成的評価の側面も考慮するという考え方です。

 

まとめ

私は、成長意欲の高い職員が、更に成長を加速するような組織を創りたいと考えております。
そもそも成長意欲が低い人は、他者がやれる事はあまり無いので支援の対象になりません(採用対象にも該当しません)。
自己決定の権利と、その結果を引き受ける義務が成人にはあります。

管理者の仕事は、
成長意欲の高い人同士の相互作用を醸成・演出し、成長できる環境や組織文化を創ることだと思っています。

そのために、「採用」「配置」「育成」「評価」「報酬」「退職」といった仕組み・仕掛けを駆使して、自己主導型学習を促すようにしています。

仕組み等のハードを変革させるのは短期間で可能ですが、人の考え方や価値観・組織文化を変革させ成果が出るまでには、時間がかかります。私の肌感覚では最低2年長くても5年あれば変わります。他人を変えることはできませんが、組織を変えることはできると思っています。そして、変わらない個人に対しては綺麗事で無い毅然とした対応ができるマネジャーであることが前提です(←このあたりについて触れると、冷たい人・怖い人だと思われてしまうのでマネジャーは概して公言したくないけれど、成果が出せるマネジャーは例外無くやっています)。

 

とはいえ、(誤解のないように付記しておくと)家庭や個人の状況等によって個別対応は必ず必要です。

一人ひとりがその状況の中でベストを尽くしているか?組織や他者に依存的・批判的・他責になっていないか?という視点で個別対応をしています。

組織全体への考え方や対応と、個人への考え方や対応とは矛盾する。矛盾をはらんでいるのは当たり前の前提条件です(このあたりが現場とマネジャーとの認識が乖離する要因になることが多いですね)。

トレードオフやジレンマの中での意思決定をするのがマネジャーの仕事です

 

実際に実践できているの?

ちなみに、私の部署の職員は成長意欲の高い職員が非常に多く、自己主導型で勉強・研究を進めてくれています。
わかりやすく数値でお示しできる話をしますと、自己主導型学習前提で大学院(修士)修了者・履修中の職員が12名/96名中(13%)、進学を検討してる者を含めると14名/96名(15%)在籍しています。

学会発表数(+論文執筆数)は最多で34件/年、少ない年でも20件以上は必ずあります。

研究はやりたくない人はやらなくて良い!
と言っているのですが、不思議です。私の想定を超えています。

なお、自己主導型学習前提だと(おそらく)皆が理解していますので、お金で差をつけて欲しい、単位数を減らして欲しいという訴えは一切ありません。(言ったとしても相手にされないことを知ってる、というのも含めて・・・)

私は、マネジャーとして成長意欲の高い職員の”成長”にコミットし、少しでも貢献したいと私は考えています。
やる前から権利を主張する人は相手にしませんが、内発的に学習し成長意欲の高い職員に対しては様々な配慮したいと思っています。

そう考えると、鶏が先か卵が先かという話になりますが、順番が大切かもしれませんね。

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理学療法士、MBA&保健学修士、医療介護マネジャー

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